先日ある会社で、「女性に関する、アンコンシャス・バイアス」について話し合った、と報告を受けました。
「アンコンシャス・バイアス」とは、無意識に持っている(=アンコンシャス)偏見(=バイアス)のことです。
例えばこの会社では、
・女性には優しく接しないといけないと思っていた。
・年配の人や女性には、簡単な仕事を渡そうと思っていた。
・重要な決定は、男性がするものだと思っていた。
というような意見が出ました(女性から出た意見もあります)。
「自分に偏見はない!」
と思う方もいるかもしれませんが、テレビドラマや映画を見ると、秘書やサポート業務の人は女性が演じることが多いと思いませんか。こういうところから刷り込まれるものなので、気づかず持っているもの。なかなか根が深いと思っています。
女性活躍が叫ばれる中で、その妨げになるのは、こういう無意識の思い込みでもあるわけです。
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アンコンシャス・バイアスの解決でやってはいけないのは「差別はダメだ」と、元々持っている偏見に新しい偏見を上書きすることでしょう。
上書きは、一見簡単に問題解決できる感じがしますが、新しい偏見が生まれがちです。
(女性活躍に不満を感じる方は、男性でも女性でも一定数いると思いますが、それは新たな偏見が生まれているからです)
大切なのは、ご紹介した企業の取り組みのように、
「無意識」を「意識化」することです。自分が持っている偏見を言葉にしてシェアし、意識化することで、影響力を減らすことができます。(普段も「自分は女性を傷つけるのを怖がっている人間だ」と意識できると、その影響力は極限まで減っていき、1ヶ月くらいで「クリア」になります)
ただそうはいっても、逆に「女性にきつい仕事を任せなければ、差別者になってしまう」というような新たなバイアスが生み出されてしまう懸念は残りますし、すべての偏見を解決するのは難しいと思います。
では、どうしたらいいか。
解決のカギは、目の前にいる人を「観察」「よくみること」です。
目の前にいる人を「女性」とか「アメリカ人」とか「東京人」とかイメージでくくると、「偏見」が悪い方向に働きやすいもの。
僕も、一般的なイメージで「70代の女性」と聞いたら、優しくしなければと考えます。一緒に仕事をすることになったら、シンプルな仕事を任せようと思うかもしれません。
でも、その人が目の前にいて、一緒に仕事をしているうちに自分より知的で、元気でエネルギーに満ちていることに気がつけば、難しい仕事、タフな仕事を提供することもできるはずです。実際僕は、そういう70代女性と仕事をしたことがあります。
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「観察」は、本当は特別なことではありません。
少なくともマネジメントをする際には、「部下スタッフがどんな人か」「どんなことが得意で」「どんなことにつまずいているのか」を観察しなければ、マネジメントなんてできないからです。
「観察」や「理解」はマネジメントの土台で、「観察しないで行うマネジメント」は、「無意識の偏見に基づいた、当てずっぽう」になる。
女性活躍に限らず、「対話の場を設けて、自分たちの持つ偏見(前提)について話し合い」、普段は「できるだけ、相手を理解しようと試みる」。このセットを上手に使うと、マネジメントの能力は格段に高まると思います。
最近、対話のファシリテーションの仕事も増えていますが、こういうことが企業の生産性を高めるために役立つことが明らかになってきたのでしょう。
あなたのチームでも取り入れてみてはと思います。
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今日の、考えてみたい問い
○あなたは周囲にいる人に対して、どんな偏見を持っていると思いますか?
仕事に対しては、どんな前提を持っているでしょう?
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女性活躍とアンコンシャス・バイアスの解決
- 2021年10月19日
- あなたの素敵なビジネスをつくる知識