協会ビジネスで成功するためには?失敗を避けるためには?

僕がコンサルティングを請け負うのは、「一般的なビジネス」多いのですが、すこし特殊な「協会ビジネス」のコンサルティングも、多く依頼をいただきます。
それは、2008年ごろ、協会ビジネスを日本に広げた立役者・前田出(まえだ いずる)さんから依頼を受け、「協会ビジネスを日本中に広げるためのビジネス」の立ち上げに関わったからでしょう。

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協会ビジネスは、「認定資格」を発行するビジネスモデルです。

例えば、「新聞スクラップを上手にする方法」を教えるとしたら、「上級講座」「初級講座」をつくって、受講者を認定していきます。希望者は「インストラクター」になることができるのも特徴です。受講者にとっては、自分が意義を感じた講座を広げるビジネスをスタートできますし、協会側は、講座を日本中に広げる仲間と出会うことができます。

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おかげさまで、関わらせていただいた協会ビジネスの多くは、それぞれに成長を遂げ、世の中に貢献しています。きっと、それら協会は「成功した」と捉えられているでしょう。

ここでは、そのコンサルティングを通して気づいた、「成功するための知恵」「失敗を避けるための知恵」をお伝えします。

※協会ビジネスの基本的な作り方をお伝えるすページではありません。

本などを学ぶだけでは捉えきれない知恵をお伝えしていきます。

知っておけば、きっと役立つと思います!

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ポイント1 「コンテンツ選び」が成功の鍵です。

 
どんなビジネスでも共通なのですが、「どんな商品を扱うか」は、成功の鍵です。

協会ビジネスの場合は、「コンテンツ選び」が鍵となります。

たとえば、日本中に広がった「アンガーマネジメント」。

怒りの連鎖を断ち切るために、僕の知人の安藤俊介さんがスタートした事業です。マスコミにも多く取り上げられ、大成功した事業といっていいと思います。
すばらしいマーケティング&セールスの手腕ですし、PRも見事です。協会ビジネスのビジネスモデルの持つ力を十二分に発揮したと言えるでしょう。

でももしこのコンテンツが「笑い上戸(わらいじょうご)マネジメント」とか「たのしさマネジメント」とかだったら、同じように広がったでしょうか?
 
ポイントは、「コンセプト」と「品質」を分けて考えることだと思います。
コンセプトは「怒りをマネジメントするコンテンツ」とか「笑い上戸をマネジメントするコンテンツ」というように、「そのコンテンツがどんなものなのか、を一言で言い表したもの」です。
品質は、実際にどのくらいしっかりしたコンテンツなのか。おなじ「アンガーマネジメント」でも、品質の高いものと、低いものがあると考えることができます。

「品質は中身の質」のことです。
 
で、コンテンツ選びをする際に、とても大切なのが「コンセプト」選びです。
共感してくれる人がいるのか、問題意識を持っている人がいるか、面白みはあるか。
日本人は大抵マジメです。だから、どんな仕事を始めたとしても「品質を高める努力」をするでしょう。でも、品質が高くなると、「このコンテンツは優れている。広がるはずだ」と考えてしまいがちです。

でもここに勘違いがあります。広がるかどうかは、「品質」ではなくて、「コンセプト」によるところが大きいからです。

「品質がいいかどうかではなくて、コンセプトが鍵だ」ということに気づいていると、アイデアを出してコンセプトを磨くこともできるでしょう。「笑い上戸マネジメント」を、「お酒で失敗したことがある人のための、お酒の飲み方」に関する講座にしてみたらどうだろう、とか。


協会ビジネスのビジネスモデルは、それ自体優れたものです。

広がりやすい。社会に貢献しやすいビジネスモデルです。
でも、だからといって「どんなコンテンツでも」同じように広がるわけではありません。あなたはどれくらい広げたいですか?その気持ちに、あったコンセプトでしょうか?大事なので、ちゃんと検討してください。
 

2.「理念と共感」で販売しよう。メリットを訴えるより大事です。

 
集客セールスをよく学んでいる方ほど、「お客さんにメリットを伝えると、買ってもらえる」ことを知っています。
大切なことですが、協会ビジネスでは、より「理念」を前に押し出して、共感を生み出しセールスしましょう。
 
メリットを前面に押し出すのは、「いくらお金を払ったら、◯◯を受け取れる」というような意味です。払った分だけ、受け取れる。払った以上に、受け取りたい。メッセージとしては、「お客さんと取引関係をつくろう」と呼びかけることに似ています。信頼関係ではなくて、取引関係です。


このとき、暗にお客さんに伝えているのは、「同じお金を払うなら、より多くを受け取れたほうがいいでしょう?うちから買えば、より多くを受け取れますよ」というメッセージ。そういうメッセージを発すると、集まるお客さんは「もっとほしい。もっとほしい」と、受け取りたい方が集まってくるでしょう。
 
でも協会ビジネスでつながりたいのは、「一緒に、このビジネスを広げてくれる仲間」です。「ほしい、ほしい」という人ではなくて、「ひろげたい、この世界にあたえたい」というマインドの持ち主です。

それに対して、理念とは、「この価値を広げていくことに、意味があると思っている」ということです。
 「この価値を、世の中に広げたい。価値を提供していきたい」という大人の考えなのです。一緒に世界を良くしようと呼びかけ集まってくる仲間は、きっと成熟の度合いの高い方でしょう。


もちろん、メリットを伝えることは大切です。伝えなくていいわけではありません。セールスに当たって、メリットは伝えます。

でも、メッセージの構造上、より重きを置きたいのは理念。世界にどんな価値を提供したいのか。人をどう救いたいのか、です。
具体的なやり方として簡単なのは、メリットを伝える時でも、いつも「「まず理念から伝える」ことでしょうか。

「自分たち協会にとって、理念が重要なのだ」ということが。ちゃんと伝わるようにメッセージを工夫してみてください。生み出したいのは、「メリットとお金を取り替える打算的な関係」ではなくて、「理念への共感」です。共感する言葉を考えてみましょう。
 
 

3.ビジネスモデルの矛盾があると、成長が止まってしまいます。

  協会ビジネスは、簡単には、仕組みを変えられないから注意。

 
協会ビジネスのビジネスモデルは、時間をかけて行うことをおすすめします。

ビジネスモデルの中に「矛盾」があると、将来、広がらなくなってしまうからです。この点は、もちろん他のビジネスモデルも同じなのですが、協会ビジネスは、特に意識してください。なぜなら、インストラクターを養成するので関わる人の人数が多くなるからです。例えば、認定資格名を変更するときにも、インストラクター全員に周知する必要があります。多くのインストラクターを抱えていれば、その中には、不満を言う方も出てくるでしょう。ビジネスモデルの変更が、大変なのです。

よくある「ビジネスモデルの矛盾」は、「広げたい」のに「広がらないビジネスモデル」を作ってしまうことでしょう。協会ビジネスを取り入れるひとは、「もっと多くの人に、コンテンツを届けたい」と考えています。でも同時に、専門家肌の人は、「一緒に講座を広げていくインストラクターにも、自分と同じくらいの専門性、品質をもってほしい」と考えてしまいます。「本当に専門性の高い人を、日本中に広げたいんです」
 
それで、インストラクター養成の条件に、「すごく高い条件」を求めてしまう。

そうするすると、いつまでもインストラクター資格を取得できません。
これは一例ですが、ビジネスモデルの中にはさまざまな矛盾が生まれがちです。その矛盾を解いてから、ビジネスをスタートすることをお勧めします。 
こんなことを言っている人は、注意してください。二つは矛盾しているケースが多いです。
 
 

4.価格が安すぎると、成り立たない

 
協会ビジネスは、インストラクターたちと「売上をシェアするしくみ」です。講座の価格が低いと、シェアする利益が生まれません。最低でも3万円以上の価格にすることをお勧めします。
ただ、たまに趣味系のコンテンツで、「お金が取れそうなコンテンツしかないんです」といって、3000円くらいの講座で協会ビジネスを作ろうという方がいます。これは絶対ダメです。関わる方みんなが「Win」になるビジネスモデルにするために、自分の専門性をもっと高めてください。そして、価格を上げることをお勧めします。(もちろん、目的によりますけどね)
 
 

5.マーケティングやセールスというより、マネジメント&リーダーシップを学ぼう

 
あなたは、売上を上げるために大切なことはなんだと思いますか?
経営者の実力によって答えは様々ですが、多くの人が答えるのは「集客やセールス」だと思います。売上を上げるために、売り方を工夫するのは、とてもわかりやすいですから。


もちろん、協会ビジネスでも、設立当初は自分で集客販売しなければいけませんから、「集客とセールス」の力は大切です。
でも、ある段階からは、インストラクターが活躍し、集客できるようにならなければいけません。

そう考えると、協会ビジネスで真に必要な力は、「集客力」ではなくて、「人に動いてもらう力」と言うことになるでしょう。そしてそれは、マーケティングやセールスというよりも、マネジメント/リーダーシップの分野の知識なんです。インストラクターたちに、気持ちよく仕事を進めてもらえるようにどんな工夫ができるのか。この知識は「マネジメント」や「リーダーシップ」だということに気づけないで、いつまでも自分で集客セールスをし続ける方がいます。気をつけてください。
 
 

6.抑制の効いた表現を身につけよう

 
ウェブサイト作りなど、情報発信ツールを作るときの話です。
販売のことを考えると、メリットを主張し元気に断言して、お客さんに買う気持ちを促したくなります。
「これで◯◯できる!〇〇できる!〇〇できる!」というふうに。


しかし、協会は、抑制の効いた表現で売るための伝え方を身につけたほうが得策です。(要請したインストラクターは元気に断言してもらって大丈夫です)
 
抑制の効いた表現とは、たとえば「この講座を学べば、○○できます!」と叫ぶような表現ではなくて、「花で人の心を癒す、専門家になりませんか?」というような落ち着いた表現です。
言い過ぎることも、言わな過ぎることもなく、過不足なく講座のことを表現するのです。

協会は「信頼性」が鍵です。それなのに「売ることにばかり意識が向いている」と思われたら、信頼されるでしょうか?きっと、信頼性が低くなってしまいます。すると、インストラクターが活動しにくくなる。それは避けなければいけません。

抑制が効きながら、魅力を伝える表現を手に入れてください。

7.インストラクターの成長を、無理強いしない

 
インストラクターを育てるのが協会ビジネスの柱です。

でも、インストラクターになった人の中には、「インストラクションが苦手な人」や、集客できなくていつまでもインストラクターとしてデビューできない人がいるでしょう。でも、あまりこう言う人を成長させようとしない方がいいと思います。

人間は、その人のペースで成長するものです。他人が「もっと早く成長させよう」と無理をしたところで、成長のスピードが速くなることはありません。もしも「なんで、集客できないんだ」「なんで、インストラクションが下手なんだ」とネガティブに考えて人を責めればインストラクターは離れてしまうでしょう。

協会ビジネスは、インストラクター資格を提供したり、学ぶ機会を提供できます。「機会」を提供するのです。でも、インストラクターとしてのレベルアップを担保するものではありません。繰り返しますが、成長は、いつでもその人のペースで進むものだからです。
資格認定したインストラクターの中から、自然と活躍する人が出てくる。その人達が増えていくように、縁の下の力持ちになる意識が、協会ビジネス成功の鍵となるでしょう。
 
 

8.人の活躍が妬ましい人は、やめておこう

 
たまに、自分が作ったコンテンツを人が広め、活躍することに耐えられない人がいます。「自分が作ったものなのに!自分のほうがすごいのに!」とイライラしてしまうんです。あるいは、「自分が講師をやったら100パーセントもらえるのに!」と、お金を分け合うことができない人もいます。
ひとと分かち合うことができない方は、まだ協会ビジネスで成功することは難しいでしょう。もっと心の器を大きくして、人が活躍することを喜べるような人間になってください。あなたが、「人が活躍するのが嬉しい」ならば、ぴったり合っています。
 
 

9.テキストブックは、しっかり作っておいたほうが得策

 
あなたに時間と能力があるならば、テキストはしっかり作っておくことをお勧めします。シンプルに言えば、基本から応用まで網羅し、「分厚いテキストを、作る」ことです。
 
テキストが薄くても上手くいった協会はあります。
でも、テキストや手引書をしっかり作った協会は、上手くいく割合が高いと感じています(経験則です)。分厚いテキストがあることで、「この協会は、品質が高い」とお客さんに伝わって、信頼性が高くなるからでしょう。
テキストでは、あなたにとっては「当たり前」と感じられることも含めて網羅し、「業界には他にも競合はあるけれど、この協会のこのテキストが一番しっかりしている」「このテキストが定番だ」と言われるくらいのものを作ってください。
もしも、「分厚いテキストを作るのは大変だ」と思う方で、専門性の高い知り合いがいるならば、分業して作り上げてもいいと思います。
 
 

10.ビジネスパーソン相手の場合は、注意

 
たとえば「プレゼンテーションの方法」を教えるような場合を考えてみましょう。
ビジネスパーソンにプレゼンテーションのやり方を教える機会も増えるでしょう。それで、ビジネスパーソンをインストラクターに認定し、一緒にこのノウハウを広げていこうとします。
これ、なかなか難しくなるでしょう。

というのは、すでに自分の仕事を持っている人、とくにビジネスパーソンの場合は、普段自分の仕事をするのにいっぱいいっぱいで、週末わざわざセミナーを開催するところまでいかないことが多いものです。
(もちろん、それでもセミナーを開催する人はいて、そう言う人は意欲にあふれています)
 
商品コンセプトや、講座の時間の長さ、価格設定などを工夫して、ビジネスパーソンでも開催しやすいように工夫すればクリアできる課題でもありますが、「ビジネスパーソン用」の工夫が必要です。
 
 

11.協会ビジネスを「高額商品を販売する戦略」と捉えることもできます。

 
協会ビジネスというと「日本中、世界中に広げる力を持つビジネスモデル」という印象が強いと思います。でも、おもしろいのはそこだけではありません。
普通に講座を運営すると、3万円とか5万円の価格にしかなりませんが、「資格認定する」「インストラクターになる方法まで伝える」商品に変えることで、30万、40万円の価格設定ができるようになります。
 
例えばコーチングのビジネスを考えてみてください。

多くの人がコーチング資格を取得していますが、それで大きな成功を遂げた人は、多くはありません。(もちろん、いないわけではありません)

コーチングは、学ぶ人よりも、教える組織が儲かるビジネスモデルと言えるでしょう。

これはつまり、協会ビジネスは、その意味をちゃんと理解して、「目的を明確にして」とりくめれば、かなり汎用性の高いビジネスモデルだということです。
可能性があちこちにあるので、それを見抜いてうまく活用してください。いろいろな道があっていいと思います。
 




 
さて、ここまで11個のポイントを挙げました。
網羅されているわけではありません。でも、大切な11個をあげました。あなたにも、役立てていただけたら嬉しく思います。