今日は岡山に出張でした。
スケジュールに余裕がなかったので、
朝8時ごろの新幹線に乗り、14時30分ごろの新幹線で帰ります。
岡山駅は人がたくさんいて、
お土産屋さんも賑わっていました。
僕も家族に「チョコレート味のきび団子」を買って帰っています。
それで今、帰りの新幹線の中で、この文章を書いています。
岡山は新幹線が止まる駅ですし、
たくさんの人が集まります。
けれど、地方の町には「観光で人を集めたいけれど、どうしていいか・・・」と
思うケースも多いでしょう。
いわゆる地方創生には、いろいろな企画計画の方向性があると思います。
富山モデルのように、住民の住む場所に影響を与えて街を活性化するのも、とても興味深い方法です。千葉県流山(ながれやま)や、兵庫県明石市のように、子育て世代が子供を育てやすい環境を作ることで、活性化する地域もあります。
ここでは「観光の力」を高めて、地方に観光客を呼ぶための戦略について
9つのポイントを話していきたいと思います。
とてもシンプルにまとめましたが「何かやりたい」と思う人がいれば、
まずこの9つを考えてみてはいかがでしょう?
1.イキのいい人を、リーダーにする。地域を好きな人をリーダーにする。
地域を変えるためには、エネルギーが必要です。
地域を変える時には、少なからず人と関わることになります。
その「関わる人」すべてにとってすぐメリットがあるかというと・・・
それはいつでも疑問です。
たとえば「豆腐」で町おこしができると考えたとします。
するとコンニャク屋さんは、
「どうして豆腐なんだ。コンニャクも売りにしよう」
といいたくなるでしょう。自分にもメリットが欲しい。
このとき「豆腐を中心にして、コンニャクも入れよう。じゃあお団子も、小さな動物園も・・・」
と考えると、企画が抽象的になって「人を呼ぶ力」が削がれていきます。
中心にいるリーダーは、ぐっと堪えて、「それでも豆腐でいく」と
決定しなければいけません。
これは、後述の「人が集まる場をつくる」時にも一緒です。
〇〇町一丁目に人目を引くシンボルを作るとしたら、
二丁目三丁目の人は、面白くありません。
もしも行政を巻き込んでいて、税金も使うとしたら、
みんなの意見を聞きたくなります。
このとき耐えるには、胆力も必要だし、勢いも必要です。
まとめあげるには「エネルギー」がいる。
地域を活性化すると言っても、「全員に平等に、すべからくメリットがある」わけではない
けれど、例えば豆腐を中心に、一丁目に豆腐の可能性を感じられる「豆腐商店街」を作る。
そこに人がくれば、豆腐以外も食べたり、宿泊したりもするでしょう。
豆腐屋さんをはじめとする食べ物屋さんや宿泊施設にお金が入れば、その人たちは、地域でお金を使えます。全体ではないけれど、多くの人に恩恵が出るようにする。
そのことを信じて、まとめあげる「イキのいい人」をリーダーに据えるのは、とても大事なことだと思います。
2.物語を見つける。
リーダーをみつけたら、次は「物語」探しをします。
僕らは「物語」に触れることで、その場所、その場所に魅力を感じます。
例えば、徳川家康が生まれた生家があった場所があるとします。
残念ながら、今はありません。言ってみれば、ただの土地です。
けれど「家康が生まれた」「その後家康は、争いのない平和な世の中を作った」という物語に共感する人から見たら、土地は「ただの土地」ではありません。
物語があることで、「当たり前の何か」は「特別な何か」になる可能性が生まれます。
たとえば、こんな物語を探します。
○歴史的に重要で、人が興味を持つ何か。(歴史好きにとっての家康生家とか、鉄道付きにとっての日本で最初の踏切とか。みんなが食べてる豆腐のすごい伝統とか)
○有名な人やものの発祥。
○神事やスピリチュアル 関連の「すごい場所」。
○映える美しい場所に、誰か昔の人の恋愛と絡める。
○小さくても全国1番を見つける。
などなどです。
この物語を核に、観光力を高めていきます。
「物語」を探すには、おじいちゃんおばあちゃんに話を聞いたり、地域史を学ぶことでしょう。
なんの物語もない地域は少ないはずです。(中にはあるかもしれないけれど)
3.物語とリンクした、場所を作る。写真映えも。
観光資源を作る時に、「場」を作ることはとても強力です。
この説明は「地域復興」とは違う角度からさせてください。
たとえばディズニーランド。キッザニア。USJのハリーポッター。
共通点は、ただ乗り物やキャラクターがいるのではなくて、
いくつもの建物を作り、「場を作った」ことです。
いくつかの建物を並べて場を作ることで、体験価値や綺麗さが生まれて
そこに人を惹きつける引力が生まれるのです。
例えば新潟県村上市。
城下町としての歴史がありますが、ある時から「観光客を呼べる町」になりました。
そのきっかけは「町屋」の建物が並ぶ場所を、作ったからです。
広い市街の中の、1つの場所に、「古い町屋の建物」を集めました。
町屋の建物で、食事を提供し、お土産を売る。
古い歴史を感じられる場所で、映える場所を作ることで、人を呼び込みました。
「場所」には引力があるのです。
ちなみに、新潟県村上市の場合は、「町屋」の建物にリフォームする際には、補助金を出すなどして、場を作り上げたそうです。
「2」で発見した物語とつながった「場」(いくつもの建物で出来上がっている空間」を作ることで、遠くから人を呼ぶ力を高めることができます。
さて、あなたの地域の物語にフィットした建物は何でしょうか。
どこにその建物を集中して建てましょう?
4.お店を誘致する。
「3」で作り上げた建物群には、「物語の核となるもの(豆腐で売るときの、豆腐屋みたいな中心点)」のほかに、若い人たちが喜びそうな「写真映えして、たのしいお店」を作ります。
「こんもりクリームを乗せるショートケーキ屋」とか「かんぱちマグロがすごい量乗っている海鮮丼」とかでしょうか。
おしゃれで、ちゃんとおいしく、インスタ映えするお店を1つの道に集中することで、「ここが観光の中心」という場所を作っていきます。
5.郷土料理を見直し、懐石コースつくる。
観光の醍醐味は「郷土の料理を食べる」ことでしょう。
それがたとえ、地域の人にとっては当たり前で、「結局醤油と味噌の味しかしない」としても、外側からやってくる人たちは、「その地域に根付いた、独特の料理」を食べてみたいのです。
ただ、たとえば「うどんが郷土料理」で、1杯うどんを振る舞うだけでは、少しだけ寂しいものです。地域の昔からの料理を集めて、「○○(地域名)の郷土会席料理」のようなコース料理に仕立て上げます。いろいろな郷土料理(コースの中には、強度と関係なものもあるかもしれませんが)を食べることで、満足度は上がります。
6.ツアーを作る。
次に「地域ツアー」を作ることです。
「ツアーで回るような、そんな観光資源はない」と思われるかもしれません。けれど、意外と昔からある和菓子屋さんが美味しかったり、お茶屋さんがおいしいお茶を振る舞っていたり、神社に祀られている神様が特別だったり、何か郷土の産業を体験してもらったり、「ちいさな工夫」は、あちこちのお店や施設にあるものです。
地域を復興した人は、地域のお店を足で回って、面白いところを掘りおこさなければいけません。だって、「自分たちもわからないものを、観光客が自分で見つけて、やってくる。たのしむ」ということはありません。
さらにおすすめは、そのツアーに地域の人たちに参加してもらうことです。
意外と地域に住む方々も美味しいお店をしらないものです。そういうお店や文化を体験するツアーを作って体験すると、「郷土に対する愛着」や、「住民同士の新しいコミュニケーション」が生まれます。
7.他地域との連携。
例えば日本中あちこちの美術館が連携して、スタンプラリーを行うことがあります。美術館を好きな人は、「他の美術館も見たい」と思うものなので、それぞれ特徴のある美術館が連携してお互いを宣伝し合うことで、全体のお客さんの数を高めることができます。
同じように似たような伝統を持つ他の町と連携して、スタンプラリーを行います。数が多くなれば1つの町でだけ取り組むよりも賑やかになります。人は「光っていて、音がしていて、動きのあるもの」が好きです。いくつもの町が集まり楽しそうにしていれば、「光と動き」が生まれる。地域の力だけでなく、地域同士の連携の力も使っていきます。
8.時間をかける。時間はかかる。
地域を活性化するのは、例えば、1年で終わるような仕事ではありません。
さまざま改善を重ねながら、長い年月をかけて取り組む仕事です。それこそ、5年、10年、20年と続いていく仕事。
だからこそ「1」で書いたように、地域が好きな方、愛している方がやらないと長くは続きません。打ち上げ花火のように、一時的にプロジェクトを進めるのではなくて、「長く地域の楽しさを底上げしていくぞ!」という気概で取り組むことをお勧めします。
9.プラン全てをマスコミに開示する。
こうして企画して取り組むことを、全てプレスリリースして、マスコミに伝えます。一般には「観光客が集まったとき」に「成功談」としてプレスリリースすることが多いでしょう。もちろん、観光客が集まったときにも、プレスリリースしましょう。でも、「発展途上の姿」も見せながら、前に進んでいきます。こう言った姿は、きっと地域のメディアに取り上げられるに限るでしょうが、一生懸命取り組む姿を地域の人に伝えるだけでも、意味があるものです。
どんな場所でも人は呼べるか?
最後に。「どんな場所にでも人は呼べるのか」という話をします。
正直、「どんな場所でも呼べる」とは思いません。人を惹きつける面白い物語がない地域もあります(なんの物語もないということではなくて、遠くから人を惹きつける物語がないという意味です)。ただ、そういう時には、「自分の町の観光資源のサイズでなら、何ができるか。どこからなら人が呼べるかと」持てるリソースに合わせて考え方を変えていきます。日本中から人を呼ばなくとも、イベントを作って隣町の人たちと盛り上がるのでも、時間は短く規模は小さくなるかもしれませんが、楽しいものですし、人やお金は動きます。