マリメッコから学ぶ、感性を経営に生かす話。未来、ぼくらはみんなビジネスで自分の感性を表現する。

うちにはいくつか、マリメッコの食器があります。
フィンランドのデザイン・ブランドで、かわいらしくて使い勝手も良好。
朝マリメッコのカップでディカフェのコーヒーを飲むと、何ていうのか・・・少しあたたかい気持ちで1日をスタートさせることができます。

マリメッコは、フィンランドの国民的なブランドの一つで、僕の好きな会社の一つです。
僕がこの会社を好きな理由は、
自分達の「感性」を大切にした経営をしているから。

もちろん「デザイン」の会社ですから、感性を活かしたビジネスであるのは当然かもしれません。ただ、それはそうなのですが、マリメッコは、「経営で、感性を大切に」しているのです。

どういうことでしょう。たとえば、
ファッションブランドは、大抵毎年新しいデザインをリリースします。それは業界の常識です。「新しいデザインが出るから、売れる」のが常識です。
でもマリメッコは、「いいデザイン」は、何年経っても変わらず作り続けるスタンスを大切にしていますし、そういうデザインを作ろうとしています。

このことをファッションブランドの「ミナ・ペルホネン」の皆川明さんが著書の中でこう語っています。
「ミナの理念や運営スタイルは、marimekkoから大きな影響を受けたと思う。短期的に消費されていくデザインではなく、たとえ半世紀前に作られたデザインであっても、それが良いものであるならば変わらず作り続ける。それがmarimekkoのデザインの考え方だ。」
(「生きる はたらく つくる」皆川明著より引用)

マリメッコのデザインへの考え方は、業界の常識の外側にあります。「デザインを短期的に消費することがない」のは、経済性というよりも、きっとその方が自分にとって当然(心地いい)からでしょう。

あなたの感性を、経営に。

他にも、マリメッコのモデルさんの体型は、ヨーロッパサイズで36〜38です。日本で言うなら、SかMくらいでしょうか。世界中のファッションブランドが、まるで「拒食症に見えるような、痩せているモデル」を採用していた時期に、やはりマリメッコは他とは違う判断をしていました。
1991年にマリメッコを買収し業績をV字回復させたキルスティ・パッカーネンの伝記的な本にも、こんな記述があります。

「それどころか、マリメッコのショーに出演するモデルたちはよく食べる。クッキーにペプシコーラ、ブドウやデニッシュといった菓子パンまで。ショーの合間にランチも出される」と記述されています。健康的であることを、きっと選んだのだと思います。

業界の常識をわざわざよけて、
自分が大切だと思うことを形にする。
もちろん、経済効率性を重視した上で。

そうやって、経営全体で(まだ常識にはなっていないし、言葉にもなっていないかもしれない自分の)感性を大切にすることで、僕らは本質的に「無数にあるビジネスの中でも、独特の存在感のあるビジネス」を作ることができます。それが「違いを生む」ことなのだと思う。

簡単なことではないかもしれません。
この世界でまだ誰も承認していない、(ある意味)自分のわがままを突き通すのは、カロリーのいることだし、
感性は最初、違和感や微細な感覚にすぎないから、言葉にしたりして自覚して経営で使いこなすはむずかしいかもしれない。
(まだ言葉になっていないことを言葉にするのは、いつでも骨の折れる仕事です)

大変だし、恐れも感じるかもしれない。
でも、感性と向き合う経営は、とても魅力的な未来を、僕らに用意してくれると思います。
とても大切なことが、見えてくるようです。