「努力」というと、少し重くて、今は敬遠されるかもしれません。
けれど振り返ってみると、僕が今ビジネスで使っている、書くこと、話すこと、問うこと、聞くこと、それらの内容のどれも、元々持っていなかったものばかりです。
心のどこかで「こういうことができる自分になりたい」というビジョンめいたものがあり、一つ一つ獲得してきました。どれも獲得までに長い時間がかかりましたし、一つ一つの努力は決してラクなものではありませんでしたが、取り組んでよかった。本当に。あなたにも「できるようになりたいこと」があるかもしれません。
それでここでは、「書くこと」を例に、僕なりの努力のコツをお話ししたいと思います。
技術を手に入れるための、努力論です。
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さて、書くこと。
元々僕は書くことがとても苦手でした。
1行文章を書くと、次の1行が出てこない。次の1行が出ても、前の1行との繋がりがない。ブログやメルマガ一本分程度の文章を、1週間はかけて完成させますが、ブツブツ切れたおかしな文章をみて、ため息をついていました。本を読むのは好きなので、審美眼は持っています。自分の文章の酷さをみて絶望したものです。
仕事柄、これまでたくさんの方の文章を読んできましたが、僕よりひどい人は出会ったことがありません。
そんな僕がやったことは、何か。
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努力1:写経
小説家の柳美里さんが、文章トレーニングのために好きな小説を書き写したと聞いて、その真似をしました。
まだ独立前。当時朝9時ごろ始業時間でしたが、7時30分ごろ会社に行って、毎朝好きな文章をコツコツ書き写しました。静かなオフィスで一人文章を書き写していた肌感覚は、今でも残っています。
書き写したのは、小説や、広告宣伝文、説明文などさまざまです。
「書き写す、ゆっくりとしたペース」だからこそ、より多くを受け取ることができたと思います。
言葉の流れやリズム、ある言葉の次に出てくる次の言葉。それらが頭ではなくて、体の中に入っていく。
特に僕は文章を書きながら、「自分にどんな問いを投げたら、この文章が出てくるのだろうか」と考えながら書き写したのを覚えています。
まだ世の中で「質問が大事」とはあまり言われていない時期でしたが、どこかで「適切な問いを投げれば、自分の中から適切な文章が出てくる」と知っていたようです。
地道な努力でした。けれど、とても効果的だったと感じています。
努力2:たくさん書く
ある段階から、(時間はかかるけれど)できるだけたくさんの文章を書くことを決めした。特に、2007年から2020年までは毎月ニュースレターを出すようにして、毎月原稿用紙40枚程度は書き続けました。始めた頃は原稿用紙120枚程度書いていたので、いいトレーニングになったと思います。
書くことは技術なので、スポーツのように練習を繰り返すことではじめて得られるものがあります。
努力3:心理セラピーを受ける
書くことは指先の技術ではありますが、同時に、精神的な活動でもあります。
先ほど書いたように、僕は、「1行の文章は書けるけれど、次の文章を書けな」くて、言葉が止まってしまっていました。これをどうにかするには、内面の思考の流れをクリアにしなければと思ったのです。
それでセラピストさんのところに通い、心理セピラーを受けました。
正直セラピーは、セラピストさんの腕によって効果がまちまちです。腕の悪い人のところに行くと、意味不明なアドバイスを受けるだけ。
僕は運良く、とても腕のいい方と出会うことができて、セラピーを受けるたびに、自分の文章が変化していくのがわかります。セラピーを受けるたび、僕の内面で、何かがスムーズに流れるようになったのです。
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今でも文章が上手いとは思っていません。けれど、僕は日本語が好きで、日本語の音が好きです。
書きながら、日本語の音に触れていると心地よく思う。そう思えるほどには、書き進められるようになりました。
努力のコツがあるならば、「何を手に入れたいのか」と「なぜそれができないか」を考えることだと思います。
「文章を書けるようになりたいから、心理セラピーを受けた」という努力はあまり一般的ではないかもしれません。けれど、もしも自分が思うように文章を書けないのは、内面の作用に原因があると仮説を持てば、当然の解決策になると思いませんか?
こうして手に入れたものは、僕にとって一生の財産です。(もっと磨きたい気持ちがありますが)
あなたの仕事にも、いい仕事をするために必要な技術があると思います。
その技術を手に入れる努力を、楽しんでみてはどうでしょうか?
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今日、考えてみたい問い
○いい仕事をするために、伸ばしたい技術はなんですか?
どんな努力をしたら、技術が伸びると思いますか?
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